「売れる」「喜んでもらう」をデザイン。綿密な事前リサーチで新規事業の立ち上げに。

目次

プロジェクト概要

クライアント:車メーカー(日本)
実施期間(トータル):2024年9月〜2025年5月(約8ヶ月)
支援内容:新規事業アイデアのブラッシュアップ伴走 / リサーチ設計・アンケートシステム構築・実施
業種:製造業(自動車)

フェーズ期間
新規事業案の協議2024年9月〜12月
アンケートシステム構築/最終調整2025年1月〜3月
アンケート実施2025年3月〜5月

課題

社内の新規プロジェクトを前進させるにあたり、3つの問題が並走していた。

第一に、新規事業アイデアの方向性が固まっておらず、外部の視点から壁打ち・ブラッシュアップを必要としていた。

第二に、アイデアを机上の空論で終わらせないために事前リサーチを実施したいが、それを正当化できるほどのデータや根拠を持っていなかった。

第三に、既存のリサーチ会社への依頼という「慣れ親しんだ枠組み」そのものへの社内的な疑問があり、新しいアプローチを模索していた。

大手リサーチ会社への調査依頼に膨大な予算を割いてきた経緯があり、依頼から納品までの一連のフロー自体に社内から疑問の声が上がっていた。

弊社の提案と施策

クライアントの現状を聞くなかで、弊社からいくつかの問いとアイデアを投げかけたました。

「自社で独立したリサーチ機能を持つことで、大幅な予算削減が可能になるのではないか?」

「メーカー名やロゴの掲載は権威的で印象的だが、それゆえに回答にバイアスがかかっているのではないか?」

「リサーチ会社が保有するアンケート回答者は、果たして『日常的に車に乗っている』『車を保有している』人々だろうか?」

この問いかけをもとに、以下の3本柱で支援を設計。

① 新規事業アイデアのブラッシュアップ伴走(約3ヶ月)

社内プロジェクトのアイデアに対し、外部の視点から継続的に壁打ちを実施。「誰に届けるか」「何が刺さるか」を軸に、事業の輪郭を具体化。

② リサーチ設計:ターゲットと質問票の明文化

リサーチ対象を「日常的に車を利用・保有している人」に絞り込み、ターゲット定義を言語化した。社名・ロゴを非表示とする「匿名型設計」を採用することで、ブランドへの先入観を排除し、ニュートラルな回答環境を整備。

設問は「行動データ」と「感情・潜在ニーズ」の両方を取得できるよう設計。

細かな分岐設定により、回答者の状況に応じて最適な設問を表示し、データの精度と深度を高める。

③ オウンドリサーチシステムの構築と実施

大手リサーチ会社への外注に依存せず、クライアント自身が恒久的に利用できるアンケートシステムをゼロから構築。

リサーチの実施そのものも弊社が担当し、システム構築から回収まで一貫して対応。

成果

新規事業の枠組みがまとまり、想定エンドユーザーの像が明確化された。

アンケートでは1,000名を超える回答を獲得。目新しいアイデアへの感想・意見だけでなく、「普段車に乗っていてこんなところが好き・嫌い」「こういうサービスがあれば生活が楽になる」といった、日々のリアルな課題や生活シーンに関する定量データが得られた。クライアントからは「非常に有意義で面白いデータが取れた」と評価をいただいた。

定性的な成果も大きく、以下3点で従来のリサーチ依存からの脱却が実現した。

  • 潜在ニーズへのアクセス:細かな設問分岐により、想定顧客が言語化していなかった課題にリーチ可能に
  • バイアスの排除:社名を伏せた匿名設計により、既存顧客・ファン層に限らない「ニュートラルで率直な意見」を収集
  • 恒久的なリサーチ基盤の確立:構築したシステムはWEBサイトを閉じない限り半永久的に稼働。次回以降のリサーチ費用・工数を大幅に削減できる体制が整った

弊社の視点

リサーチ会社が保有するサンプル数は圧倒的です。数だけを見れば魅力的に映ります。しかし、「その商品・サービスについて根掘り葉掘り聞ける相手かどうか」の判定こそ、リサーチの根本だと弊社は考えます。

今回の指針はシンプルで、「車に関係のない人には、最初から聞かない。アクセスしない。」ということでした。

この一点を徹底することで、数千人の”薄い”回答より、対象者1,000人の”深い”回答を取りきることができたと考えます。

リサーチにおける「量」と「質」は、必ずしも比例しません。「誰に何をどうやって聞くかの設計」が、データの価値を決めると考えます。

目次